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『こわれゆく女』

カサヴェテス。

ジーナ・ローランズの素晴らしさ。

僕はこの映画に対してすごい期待をしていて、DVDを観終わった後に本当に失礼な見方をしてしまったなと反省をしている。

自分の中で「この作品はきっとこうだ」などと考えてみてしまうのはすごく失礼なことで、一時的なうすら寒い自己満足が得られるだけである。やめよう。

私が本作に期待していたのは、シャブロル的なゆるやかに狂気が表出してくるような演出で、途中まではそうも読み取れるのだがこの作品に描かれていたのは、妻が少しだけおかしいというだけである。

ただ、ジーナ・ローランズ演じるメイベルが、おかしい。それだけの映画なのである。

すぐそこに潜んでいる狂気にも似たズレをメイベルが持っていて、ただその様が描かれるだけで、今回たまたま精神病院に入ってしまって、それだけ。この映画がはじまるずっと以前から、きっとメイベルはおかしくて、この映画が終わった後もずっとメイベルはおかしいんだ。何も変わらない。ただ、少しだけおかしくて、全然日常生活は送れるメイベルと、それに振り回されながらも普通に生活してく旦那とか、義母とか……。

観終わってすぐは、肩透かしだななんて思った自分が本当に恥ずかしい。しばらくして、胸に少しのわだかまりがずっと残っていて、1か月近く経ったのだけれど、まだ消えていない。